離婚で損得するケース/間違いだらけの対応
ここに条件が同じ2組の夫婦の、離婚後の状況を比較してみました。
条件が同じA子さんとB子さんの対応によって生じたケースを紹介します。
夫45歳の公務員(教師)が不倫・・・夫婦には14歳の子供が一人
【離婚後のA子さん】
収支 | |
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慰謝料 | +300万 |
財産分与 | +200万 |
調査費用 | -60万 |
その他 | 慰謝料+150万 (浮気相手から) |
合計 | 590万円 |
【離婚後のB子さん】
収支 | |
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慰謝料 | +100万 |
財産分与 | |
調査費用 | |
その他 | |
合計 | 100万円(未払い) |
条件が同じだったのに、何故二人の主婦にはこのような差が生まれたのでしょうか?
理不尽な夫に負けることなく賢明な対応ができたA子さん、慌てるばかりで何もできなかったB子さん。それぞれのケースについてご覧ください。
A子さんの場合
夫は仕事が忙しいといって1年ほど前から深夜に帰宅するようになった。
ある日突然「離婚してくれ」と言われ、理由を尋ねると「性格の不一致」を告げられた。
この時点で、夫の過去の言動を思い返せば、残業という理由で帰宅時間が遅かった事や携帯電話による通話・メールに不審な点があった事などが浮かび、離婚理由である「性格の不一致」に不審感を持ったA子さんは、夫に見つからないよう情報を集め始めた。
この時点までは、夫の言動に対して納得がいかない為の情報収集であったが、女の存在を感じ取ったA子さんは、事実確認の為にインターネットで調べて探偵社に素行調査を依頼することにした。
インターネット上、探偵社のホームページ数は膨大であると共に、調査システムの違い、特に料金の違いに驚くと共に、何を基準に探偵社を選んだら良いか分からなくなった。
A子さんは、ネットでさらに調べて行くと内閣総理大臣(国家公安委員会)が許可した「一般社団法人日本調査業協会」がある事を知る。
さらに、A子さんは、地元にある「消費者生活相談センター」にて「一般社団法人日本調査業協会」の信頼性を確認して、同協会に所属している探偵社へ足を運んだ。そして、同協会に加盟している数社の探偵社から相談・見積もりをしてもらった後、誠実そうな探偵社に依頼することにした。
月曜から金曜まで会社帰りの尾行調査で、料金は先払いの50万円。
調査報告を待つA子さんの元に、決定的な証拠が取れたという連絡があった。さっそく探偵社へ確認にいったところ、確かに夫と若い女性が一緒に食事をしているところや、ラブホテルから出てくる様子が撮影されていた。
探偵社のアドバイスによりA子さんは、浮気相手の女性に対して慰謝料請求をする為に、同女性の身元を調べるため、身元調査の追加(10万円)を依頼。
身元調査の結果から、相手の女性が夫と同じ職場に勤務する独身女性であることが判明した。
そんな矢先、夫から離婚の申し出があった。
「100万円払うから今すぐ離婚しろ」という理不尽な内容だったが、A子さんは突っぱねて、家庭裁判所に調停を申し出た。
調停期日に呼び出された夫は、数々の証拠を初めて見せられて愕然とした。
裁判まで徹底的に争うつもりだったA子さんの予想に反して、ほどなく離婚調停が成立した。婚姻破綻の原因は夫にあると全面的に認められた調停内容で、慰謝料300万円、財産分与200万円。月々の養育費支払いはもちろん、子供の親権もA子さんが得た。
さらに、A子さんは浮気相手にも慰謝料の請求をした。
浮気の証拠を見せられた相手は争う気も失せたようで150万円の支払いで示談成立。
現在A子さんは、シングルマザーとして子供と元気に暮らしている。
B子さんの場合
夫は仕事が忙しいといって1年ほど前から深夜に帰宅するようになった。
何かにつけて「気に入らないなら一人で出ていけ!」と怒鳴る始末。おびえるB子さんは自分がしっかりしていないからだと、思うようになり、ただただ謝るようになった。
両親にも相談してみたが、「辛抱しなさい。」と言われた。
知人から「B子さんの夫が見知らぬ若い女性を夫の車に乗せているのを見かけた」と聞き、夫に問うと、夫は「変な邪推をするな!」と言い、B子さんへさらに暴言を放った。
そんな日々が続き、B子さんは自律神経失調症となり、心療内科に通院する事となる。
ある日、夫から「性格の不一致」を理由に「100万円払うから今すぐ離婚しろ」という理不尽な内容の離婚を告げられた。
B子さんは、友人から「浮気」の可能性が高いから、探偵社に調査を依頼することを進められるが、夫を信じて自分のいたらなさを責めて、ただただ慌てるばかりであった。
その内、精神的に限界にきていたB子さんは、離婚届に署名・捺印して夫に渡し、家を出た。財産分与や養育費などがあることは思い付かず、離婚届を置いてきた。
離婚してしばらくは実家に身を寄せていたB子さんだったが、約束の100万円がまったく支払われず。嫌々ながらも元夫へ連絡したところ「そんな約束はまったくしていない。別れたいと言ったから別れただけだ」と言い張り、1円たりとも払う意思を見せる様子はなかった。 B子さんは夫から100万円払うと確かに聞いたが、それを証明する念書もなければ公正証書もない。もちろん証人もいない。さらに、B子さんに追い討ちをかけるように、友人から夫が若い女性と同棲している話しを聞きかされる。
ようやくB子さんも本やインターネットなどで離婚について勉強を始め、かなり自分が不利な状況になっていることを知った。友人に進められた時に探偵社に調査を依頼しておけば良かった事、協議離婚する時の約束は文書で残しておくべきという事、せめて弁護士に法律相談をしておけばよかった事。今にして思えば間違いだらけの対応だった。
さすがに今さら離婚届を無効にしてもらうことはできないが、あとは時効前に慰謝料と財産分与を請求してみるしかない。自分に有利な証拠が何も残っていないB子さんの苦労は未だ続きそうだ・・・