裁判離婚

家裁調停不調や家裁の審判に異議申立があった場合に於ける地方裁判所での裁判の事です。
プライバシー保護のため密室でおこなわれていた調停とは異なり、裁判では公の場でお互いの非を責め合わなければなりません。このような精神的重圧や、弁護士費用などの経済的負担などで、離婚の争いが裁判までもつれ込むケースはほんの一握りです。
ここで離婚を認める判決が確定すれば裁判離婚が成立します。

流れと手続き

  • step01:
    調停不成立または審判に異議
  • step02:
    地方裁判所へ訴状を提出
  • step03:
    裁判開始
  • step04:
    判定確立(この時点で離婚成立)
  • step05:
    判決謄本・判決確定証明書・離婚届を提出
  • step06:
    手続き完了

届け先は?

離婚訴訟を起こす裁判所。

同居の場合
その住所地の管轄裁判所
別居の場合
※夫婦のいずれかが、同居時と同じ裁判所の管轄内に居住している場合
同居時と同じ住所地の管轄裁判所
別居の場合
※夫婦二人とも、同居時と同じ裁判所の管轄内に居住していない場合
どちらか一方の住所地の管轄裁判所

必要な書類は?費用は?

家裁調停を経ないといきなり裁判をすることは出来ません。
調停不成立証明書を家庭裁判所で出してもらう必要があります。

提訴するための費用としては印紙代と、慰謝料請求する場合は慰謝料額に応じた印紙代、財産分与や養育費も請求するのであればそれぞれの印紙代が必要となります。
この他、切手代や証人を呼ぶ場合の旅費なども必要になりますが、これらの出費については裁判に勝てば相手に払わせることができます。
但し、探偵や弁護士に依頼するときの費用は裁判で勝っても相手側に請求することはできません。

離婚裁判には正当な理由が必要

離婚を求めて裁判所に提訴するには、調停不成立という条件の他にも「法定離婚原因」が必要になります。
「ただ何となく別れたい」という理由では提訴できず、法で定められた正当な理由が必要ということです。

法廷離婚原因

不貞行為
夫婦には、夫婦以外の第三者と性的な関係を持つ事は許されません。
浮気や不倫は離婚理由の大半を占め、夫婦間での話し合いでは「浮気」を認めていても、実際に調停や裁判で争う場合は、相手に否定されてしまいます。
離婚以外に、慰謝料の額などにも大きく影響してきますので、あくまで「証拠」を取っておくことが重要です。
悪意の遺棄
夫婦としての同居義務、扶助義務、協力義務を果たさないことです。
愛人と同棲してしまい家にも戻らない、又は生活費をまったく入れない、などが「悪意の遺棄」になります。
3年以上の生死不明
相手の所在や生死が3年以上分からない状態です。
この場合は協議や調停を飛ばして、裁判を起こすことができます。
回復の見込みがない強度の精神病
精神病については、夫婦としての共同生活が果たせないレベルであれば、離婚原因となる場合があります。
どこまでが離婚原因になるケースかの判断は非常に難しく、裁判所としても精神病を離婚原因と認めることについては慎重です。
その他、婚姻を継続しがたい重大な事由
上記離婚原因の条件に当てはまらない場合の事です。
過去の判例では、性格の不一致、夫婦間の暴力(DV)、浪費、性的な異常などが離婚の理由として認められた事があります。

和解とは?

裁判を起こしても、判決を待たずに和解を成立させ、和解調書を作成して裁判を終了することができます。
この場合は、形式としては協議離婚の一種ということになります。

離婚の原因をつくった本人からの離婚請求は認められるのか?

離婚の原因をつくった本人「有責配偶者」からの離婚請求は、結婚生活が破綻しているのに夫婦関係を続けるのは不自然であるという「破綻主義」の考え方から、20年ほど前に有責配偶者である夫からの離婚請求が裁判所で認められました。

有責配偶者からの請求が認められるためには、「別居の期間」「幼い子供の有無」「離婚後の生活状況」「有責性の程度」といった色々な事情から総合的に判断されます。