「別れさせ屋」トラブル ー 西日本新聞夕刊より
投稿日:2016年7月8日■ H28.07.08
2016年06月11日付け 西日本新聞夕刊より
「結びつけ」「別れさせ」恋愛工作業者、トラブル多発 30代男性1240万円被害、事件や訴訟も西日本新聞 6月13日(月)11時32分配信 インターネット上には「別れさせ」「結びつけ」をうたう探偵会社が多数存在している(写真の一部を加工しています)男女の交際を取り持ったり、関係を解消したりします。
こんなうたい文句で高額の契約を結ばせる探偵業者を巡り、トラブルが相次いでいる。
福岡県内の30代男性は、好意を寄せる女性と付き合えるようにすると言われ計1240万円を支払ったが、交際には至らなかった。依頼者は、実際に目標を達成するための動きが行われたかどうか確認するのが難しく、詐欺まがいの業者も存在するとみられる。専門家は安易な利用に警鐘を鳴らす。
男性は2013年7月、テレビ番組で「結びつけ屋」として紹介された探偵会社(大阪市)に「好きな女性がいる」と相談した。紹介された福岡市の支社で、「対象の女性にスタッフを接近させ、親しくなった上で偶然を装って仲を取り持つ。交際できますよ」と言われた。
男性は着手金として450万円を支払った。だが探偵会社はその後、「女性に彼氏がいた。『別れさせ工作』が必要」「別れさせることに成功したが、女性がストーカー被害に遭って参っている。カウンセリングが必要」と次々に高額の追加契約を求めてきた。
男性は15年1月までに計6回追加契約を結び、790万円を支払った。その都度、報告のメールを受け取ったが、実際に「工作」が行われたことを裏付ける資料や写真は一切なかったという。
「接触されると作戦に支障が出る」とくぎを刺され、女性に会うこともないまま、探偵会社からの連絡は途絶えた。「探偵業は届け出制で、参入のハードルの低さから悪徳業者が相当いる」
日本調査業協会によると、「結びつけ」「別れさせ」などをうたう業者は15年ほど前から出現した。
インターネット上には多数の宣伝広告があふれており、協会には「契約したのに何もしてくれない」などの苦情が殺到。09年には関東地区で「別れさせ屋」を名乗る男が対象の女性とトラブルになり、殺害する事件も起きた。
協会は「人の感情を操作することは公序良俗に反する」として加盟団体に自主規制を求めているが、非加盟の団体も多く限界があるという。
国民生活センター(東京)には、「別れさせ」ビジネスなど達成が極めて困難な契約を結ばせる探偵業者への苦情が急増。13年度は1734件だったが、14年度は3199件、15年度も2月末時点で3479件に上っている。 貯蓄をすべて失った男性は昨年末、「実現不可能な契約で違法」として提訴。探偵会社は男性の訴えをすべて認め、今年2月に全額返金することで和解した。
会社の代表は取材に対し、「工作はちゃんと行った。実らなかったのは、対象の女性に対する事前情報が不足していたからで、結果不良になることはよくある」と話した。
この会社は名称を変え、今も「結びつけ」「別れさせ」ビジネスを行っている。
探偵業者が絡むトラブルに詳しい青木歳男弁護士(福岡県)は「探偵業は届け出制で、参入のハードルの低さから悪徳業者が相当いる。
安易に契約しないでほしい」と話している。
-西日本新聞社-